バスケ女子 3大会ぶりリオ五輪!逆境はねのけ団体球技日本1号

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◇バスケットボール女子リオデジャネイロ五輪予選兼アジア選手権最終日 日本85―50中国(2015年9月5日 中国・武漢)

 日本が04年アテネ五輪以来3大会ぶりの五輪出場を決めた。1次リーグ全勝で1位通過した日本は、同2位で開催国の中国に決勝で85―50と圧勝。エースの渡嘉敷来夢(らむ、24=シアトル・ストーム)は、18得点7リバウンドの活躍で大会MVPにも選ばれた。昨年11月に国内男子リーグの統合問題で国際連盟(FIBA)から一時、国際試合の無期限禁止処分を受けていたが、逆境をはねのけて団体球技の日本勢で最初のリオデジャネイロ五輪切符を獲得した。

 こんな圧勝劇を誰が予想しただろうか。相手は昨年の世界選手権6位の中国で、しかも敵地の決戦だ。FIBAの制裁で一時的に世間の注目を集めたものの、決して前評判が高かったわけではない。内海監督も「(圧勝に)こうなるとは思っていなかった。選手たちがよく頑張った」と驚く五輪切符獲得だった。

 機動力で中国を圧倒した。日本は相手のボール保持者へ激しいプレッシャーをかけ、ゴール付近では2、3人がかりと囲いこむ。足を使った激しい守備で、平均身長で約9センチ大きい中国の攻撃をかく乱した。ボールを奪うと、本川や山本が走って速攻から得点を重ねた。第1クオーター(Q)を23―11で入ると、第2Qも走り回って22点差をつけて折り返した。

 堅守速攻を支えたのは渡嘉敷だ。かつてリバウンドで中国にねじ伏せられてきた。しかし、1メートル92の大黒柱は相手の外したシュートをリバウンドで拾い、セカンドチャンスを許さない。攻撃で足が止まっても、個人技で得点をつないだ。後半に入っても流れを渡すことなく、宿敵をねじ伏せ、エースは「決勝は楽しみたいと思った。何も考えずにプレーした。うれしさよりプレッシャーから解放されてホッとしている。全員の気持ちが強かった」と感慨に浸った。

 逆境を乗り越えた。代表に衝撃が走ったのは昨年11月。FIBAから日本に対して無期限の「国際試合禁止」の厳罰が下った。解決の糸口が見えなかった国内男子2リーグの統合問題が原因だった。処分の対象は関係のない女子にも及んだ。日本協会はFIBA主導の改革を受け入れ、トップに抜てきされた日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏が急ピッチで改革を断行した。制裁解除にこぎ着けたのが8月9日。今大会開幕のわずか20日前のことだった。選手はいつか道が開くことを信じて練習を続けた。

 そのチームを進化させたのがエースの成長だ。昨年の世界選手権ではチームの中心に据えられながらも3戦全敗で大会を終え、失意を味わった渡嘉敷は今年4月に米女子プロバスケットボールのシアトル・ストームと契約。米国で「ヒョロヒョロだ」と線の細さを指摘されながらも、プレー時間を増やし、主力として活躍。体重は4キロ増の85キロとなり、ゴール下の争いでも引けを取らなくなった。ロンドン五輪の最終予選は右足首の疲労骨折でチームを離脱し「自分は何をしているんだと思っていた」という悔しさをようやく晴らした。

 「まだ五輪に出られる実感が湧かない」。アジアレベルで終わる選手じゃない。「世界のラム」の夢の続きはリオのコートで待っている。